先輩、今や“コンサル=花形職業”って感じもありますけど、日本のコンサル業界っていつから、どうやって発展してきたんでしょう?

いい質問だな。意外と日本におけるコンサルというと90年代以降に発展したということ以外、わかっていない人も多いからな。
じゃあ今日は、戦後から現在までを5つのフェーズに分けて見ていこうか。

【第1フェーズ:黎明期(1950〜1970年代)── 品質と現場から始まったコンサル】

戦後の混乱から立ち上がる中で、日本に“経営コンサル”という概念がアメリカから入ってきたのが1950年代。この時は主に製造業の生産性向上や品質管理に関するコンサルが中心だったんだ。

「QC(品質管理)やIE(インダストリアルエンジニアリング)みたいな言葉が出てくる時代ですね。

そうそう。トヨタ生産方式の導入や、TQC活動(全社的品質管理)なんかが代表例だな。JUSE(日本科学技術連盟)がデミング博士を招聘して品質管理が普及したのもこの時期。経営そのものというより“現場改善型”が主流だったな。

ここから日本のコンサルが始まったんですね!

【第2フェーズ:成長期(1980〜1990年代)── 戦略とグローバル化への対応】

ここでいよいよ、外資系ファームが本格的に入ってくるんですよね?

その通り。マッキンゼー、BCG、アクセンチュア(当時アンダーセン・コンサルティング)といった“戦略系”や“IT系”ファームが続々と参入してきた。 バブル経済とともに、企業が“成長戦略”や“グローバル展開”を重視し始めて、そうした高度な分析・戦略立案が求められるようになったんだ。

分析・資料作成・仮説検証といった“ロジカルな思考”が求められる時代だったわけですね。“MBAホルダー=コンサル”みたいなイメージが出てきたのもこの時代ですよね。

あと、いわゆる“スーツにパワポ持って出てくる人たち”のイメージが定着しはじめたのもここ(笑)

【第3フェーズ:多様化と成熟(2000〜2010年代)── 業務・IT・戦略が融合】

2000年代に入ると、いわゆる“戦略だけじゃない”コンサルが増えてきますよね。

うん。ITバブル崩壊やリーマンショック、コロナ禍を経て、企業が求めるコンサルのスタイルも変わってきた。 今は“戦略だけ”じゃなく、“実行支援”や“業務改革”“デジタル推進”まで、現場に入り込む支援が当たり前になってきた。

アクセンチュアやIBM、日系総合ファームが“戦略〜業務〜IT”を一気通貫を謳うようになったタイミングですね。

“計画するだけじゃなくて、実行も支えてほしい”というクライアントの要望に応える流れが加速した時期だな。俺が就職したのもこのタイミングだ。

【第4フェーズ:転換期(2010〜2020年)── DX・社会課題との向き合い】

この10年くらいで、DXって言葉を聞かない日はないくらいになりましたよね。

まさに。クラウド、IoT、AI、5G……テクノロジーの進化に加えて、働き方改革や地方創生、SDGsへの対応も含めて、コンサルの守備範囲は爆発的に広がった。

どこのファームもDXやサステナビリティ関連のユニットを立ち上げていたと記憶しています。

うん。この時代から“変化を伴走する”というスタンスが重要になってきた。提案資料だけじゃクライアントは納得しない。自分たちで現場に入り込み、KPIを追い、泥臭く動く必要が出てきたんだ。

【第5フェーズ:再構築の時代(2020年〜現在)── AI・多様なプレイヤーの台頭】

コロナを機に、業界にもいろんな変化がありましたよね。
私が就職したのもこのタイミングで、入社初日からリモートワークでした。。。

リモートワークやオンライン支援、そして何よりChatGPTをはじめとした生成AIの登場は大きかったな。クライアントも“AIでどこまでできるの?”という問いを持ち始めてる。

最近は、日系の独立系ファームやフリーランスコンサルも注目されてますよね。
さらには、伊藤忠やNTTデータといった他業種も、これまでの知見を活かしてコンサル部門を立ち上げているのをよく見ます。

そう。今の時代は“ファームのブランド”ではなく、“誰に支援してもらうか”が重要視されてきてる。これまではパートナーを頂点とした“ピラミッド型”の組織構造が一般的だった。プロジェクトもファーム内で完結し、情報もトップダウンで管理されていた。

でも今は、“ネットワーク型”の構造にシフトしてきてる。つまり、社内外問わず、必要なスキルや経験を持つ人材を柔軟にアサインしてチームを組む。たとえば、フリーランスのスペシャリストや副業人材、スタートアップとの協業なども当たり前になってきた。
こうした変化は、プロジェクトごとに最適な布陣を構築できる反面、“誰がどんな価値を出せるのか”が厳しく見られる時代にもなってきてる。言い換えれば、“名前より中身”が問われる時代になったということだな。

ハードな時代に生まれちゃったもんですね、、、

こうして見ると、日本のコンサル業界って、時代の変化とともに“在り方”がどんどんアップデートされてきたんですね。

その通り。単なる“課題解決業”から、“未来の共創者”へと変わりつつある。これはもちろん、日本だけじゃなく、グローバルでも共通の流れだ。

戦後の現場改善から始まり、戦略ブーム、IT導入、DX、そして今のAI時代へ ──
コンサル業界は常に社会の変化に応じて、求められる役割を変化させてきたことが分かりますね。
(後輩も↑では偉そうに語っていますが、今回調べてみて初めて分かったことが多々ありました、、、)

私たち自身も、その変化に適応しながら“次の価値”を生み出していく存在でありたいと思います。
この記事が、志望者や関心のある読者の“歴史と未来”の理解に役立てばうれしいです!