今回はコンサルファームの経営形態について解説したいと思います!
これはまた一気にマニアックなネタになったな(笑)
でも以外とこの経営形態がファームの色に大きくかかわってたりするな。
同じコンサルファームでも、働き方とか意思決定の速さが全然違うと感じるんですが、これも経営形態に起因するんですかね?
「そう、大きく関係してるんだ。コンサル業界では主に“パートナー制”と“株式公開型”の2つがあって、それぞれ働き方や文化、キャリアの築き方まで変わってくる。
【パートナー制とは?──共同経営者が率いるファーム】
パートナー制は、いわゆる“合名会社”に近い形で、限られたシニアクラスのコンサルタント(パートナー)がファームの所有者・経営者でもある仕組み。マッキンゼー、BCG、ベイン、アーサー・D・リトル、ローランド・ベルガーなどが代表的だな。
つまり、上に行けば“自分も経営者になる”ってことですか?
その通り。パートナーになると、“報酬”だけでなく“配当”も受け取る形になる。責任もあるけど、その分リターンも大きい。意思決定もパートナーたちの合議制で行われるから、現場に近い感覚で素早く動けるメリットがある。
パートナーで年収数億円の人も珍しくないですもんね。
案件状況によってはボーナス億越えもあると風のうわさで聞きました(笑)
当時その噂のパートナーと一緒に働いていたが、”マジ”らしい。
確定申告するまで恐ろしくて手を付けられないと言っていた。
ところで、パートナーになるときに“出資”が必要だって聞いたことがあるんですが……?
鋭いな。実はその通りで、多くのパートナー制ファームでは、パートナー昇格時に会社への出資が求められる。数百万円から、海外では数千万円相当になるケースもある。いわば“身銭を切って経営に参画する”という覚悟を示す儀式のようなもんだな。
経営者の一員としてリスクも背負うんですね。その分、短期の成果や利益に対するプレッシャーも大きそうですね……。
“目の前のプロジェクトでどう成果を出すか”に対してものすごくシビア。若手のうちから結果にコミットする文化が根づいてるよ。
ちなみにですが、海外ドラマ「SUITS(スーツ)」でもハーヴィー・スペクターが昇進時に小切手を渡すシーンはかっこよかったです(笑)
確かにあれは憧れるよな(笑)
そうスマートに払えればいいが、実際はファームによってはローンでの分割払いが用意されてることもあるみたいだ。
【株式公開型とは?──マーケットと資本の論理が動かすファーム】
一方、アクセンチュア、NTTデータ、フューチャー、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などは上場企業だ。一般企業と同じく、株主が存在し、経営は取締役会と執行役員によって行われる。
ということは、投資家や市場からの視線を意識する必要があるということですね?
のとおり。IR(投資家向け広報)活動、ESG経営、コンプライアンス対応など、“企業としての健全性”が常に求められる。一方で、組織が大きく仕組み化されてる分、長期的な人材育成や多様な働き方の整備も進んでる傾向がある。
だから働き方改革やリモート対応も早かったりするんですね。
そう。中長期的な事業ポートフォリオや、クライアントへのリスク説明責任も丁寧。個々の社員のKPIや目標設定も“成果+再現性+育成”など複合的に評価されることが多いな。

【どちらが“良い”ではなく、“合う”を考える】
こうして比べると、それぞれに良さと難しさがありますね。
そう。“成果にガツガツ向き合いたい人”にはパートナー制、“制度や組織の仕組みを使って成長したい人”には株式公開型が向いてるかもね。
ちなみに今は、両者の“ハイブリッド型”を目指すファームも増えてる。たとえば、上場しつつもインセンティブ設計をパートナー制度に近づけてるようなケース。
なるほど……。“どのファームが強いか”だけじゃなくて、“どの構造が自分に合ってるか”も見ていく必要がありそうですね。
今回は、“パートナー制”と“株式公開型”という視点から、コンサルティングファームの経営の仕組みと働き方を整理しました。 普段あまり表に出てこない内容かもしれませんが、キャリア選択の裏側にある“構造の違い”を知ることで、より納得感のある選択ができるはずです。若手のころはそこまで影響はないですが、ランクが上になるほど、経営形態によるファームの色の違いを明確に感じるようになります!
ファーム選びの際は、こういった「仕組みのリアル」にも目を向けてみてください!